6. ブラシ

図7.15 ブラシによる描画の例

ブラシによる描画の例

GIMP 標準添付のさまざまなブラシを使った描画数例。 すべてブラシで描画ツールを用いて描画した。


ブラシ は一個または組み合わされた数個のビットマップでできており、 描画に使います。 GIMP には 10 種の描画ツールがありますが、 これらは描画という言葉から典型的に連想される操作にとどまらず、 消去や転写、 にじみ効果や照明/暗影効果をも司ります。 描画ツールはインクツールを除きすべてが同じブラシ群を利用します。 ブラシのピクスマップの姿は試しに画像上で一点描いてみればわかります。 ブラシを使った描画は、 普段はマウスボタンを押したまま画像上でマウスポインターを滑らせて行ないますが、 このときその軌道上には使っているブラシと描画ツールの特徴を持った刻印が間隔を開けて並びます。

ブラシは ブラシダイアログ 上のアイコンをひとつクリックして選びます。 GIMP で現在 使用中のブラシ はツールボックス下部の ブラシ / パターン / グラデーション のところを見てもわかります。 (設定 ダイアログのツールボックスのページをご覧ください。) ブラシのところをクリックすれば直ちにブラシダイアログ上の作業に移ります。

GIMP のインストールには基本的なブラシのほかにただブラシの可能性を示すためだけの奇妙なもの (たとえば例図にも載せたピーマンブラシ) も入っています。 もっと別の新しいブラシをダウンロードしてきたりご自分で新たに作ったりして GIMP で使えるようにインストールする方法もあります。

GIMP で使えるブラシはいくつかに分類できます。 しかしその使い方はすべて同じですから、 ほぼどんな使い道でも使うブラシの違いを気にする必要はありません。 つぎにブラシの分類をあげます。

通常のブラシ

GIMP についてくるブラシのほとんどはこちらに分類されます。 ブラシダイアログ上ではグレースケールのピクスマップとして表示されているものです。 描画するときにはその黒い色は描画色 (ツールボックス上の色表示でわかります) で置換されます。 ブラシダイアログに並んでいるアイコンは画像上に描かれる刻印を表しています。

このようなブラシの作り方: 拡大ズーム表示しながら小さな画像を描いて、 グレースケールモードにします。 これを拡張子 .gbr の付いた名前のファイルにエクスポートし、 所定の位置 に保存します。 ブラシダイアログのブラシの更新ボタン をクリックすれば GIMP を再起動することなく新しいブラシをプレビューできます。

色ものブラシ

この分類のブラシはブラシダイアログ上では色つきで表示されています。 テキストも含まれます。 その色がこれらのブラシの塗色です。 描画色として指定されている色は使われません。 そのこと以外は通常のブラシと同等です。

このようなブラシの作り方: 小さな RGBA 画像を作ります。 塗りつぶし色を透明に、 色空間RGB に指定した新しい画像を用意してから始めるとよいでしょう。 希望通りに画像ができあがったらその属性を保管するためひとまずは .xcf ファイルに保存します。 そのうえで .gbr の形式にエクスポートします。 ブラシダイアログのブラシの更新ボタン をクリックすれば GIMP を再起動することなく新しいブラシをプレビューできます。

[ティップ] ティップ

選択範囲を写し取ったり切り取ったりしたときに、 クリップボードの内容 (すなわち選択範囲のコピー) がブラシダイアログの筆頭に現れます 「クリップボードブラシ」。 これは描画にも使えます。

図7.16 写し取りもしくは切り取りの後のブラシ選択

写し取りもしくは切り取りの後のブラシ選択

ブラシパイプ形式

この分類のブラシは画像上に単一ではなく幾種もの形状の刻印をします。 ブラシダイアログ上ではこのブラシの見本の右下隅には赤い三角印が付いています。 これらはアニメーションするブラシとの異名があり、 このブラシでなぞってゆく間にその刻印の形が変化してゆきます。 [ブラシパイプ形式とかイメージホースとも呼ばれます。] 根本的にパイプブラシは非常に知能的な側面を与えられます。 タブレットを使用される場合は特に、 圧力や角度などに反応させることが考えられます。 しかしその可能性のすべては開発しきれておりません。 GIMP についてくるブラシは比較的簡素です (でも十分有益です)。

こういったブラシの作り方の例が次の節 「ブラシの追加」 にあります。

媒介変数つきブラシ

これらのブラシは ブラシエディター で作られています。 このエディターは簡素なユーザーインターフェースながら多種多様なブラシ造形を可能にします。 媒介変数つきブラシのすばらしい点は 伸長可能 であることです。 それらの媒介変数は 設定 ダイアログの入力コントローラーのページで特定キーの押下やマウスホイールの回転によってブラシの大きさが増減するように設定できます。

すべてのブラシには可変高さがあります。 事実、 すべての描画ツールのツールオプションボックスにいま活性化しているブラシの高さを増減できるスライダーがあります。 この調節はマウスホイールをうまく設定しておけば、 画像ウィンドウ上で直に行なうこともできます。 ブラシの大きさの増減 をご覧ください。

ブラシピクスマップに加えて、 もう一つの GIMP ブラシの重要な属性がブラシの 間隔 です。 なぞるように描画されるときの軌道上を連続して並ぶ刻印の互いの距離のことです。 ブラシはそれぞれに既定の値を持っていますが、 ブラシダイアログ上で変更可能です。