グラデーションダイアログはグラデーションを目録から選べるしくみです。 グラデーションとは直線状に並べられた様々な色や透明度の配色のことであり、 ブレンドツール をはじめ数々の加工に利用されています。 このダイアログからグラデーションを操作する機能もいくつか呼び出せます。 グラデーションを選ぶには一覧表からどれかをクリックしてください。 選ばれたものがツールボックスの ブラシ/パターン/グラデーション の区画でも表示されます。 GIMP には良さそうなグラデーションがいっぱい付いてきます。 そのうえ自作も可能にする グラデーションエディター もあります。 グラデーションの一般的な情報とその使い方については グラデーション の節をご覧ください。
一覧表の最初の 5 つのグラデーションは特別です。 ツールボックスに表示される描画色と背景色を基にそれぞれ異なる方法で作成され、 再構成されています。
描画色から背景色 (HSV 時計回り/反時計回り): 色相環の色をすべて使い、 描画色と背景色の間を時計回りと反時計回りにそれぞれ切り出しました。
描画色から背景色 (RGB): 既定で選ばれるのはこのグラデーションであり、 RGB モードで前景色から背景色までの変化です。
描画色から背景色 (ハードエッジ): 描画色と背景色だけで描かれたくっきりとした仕上りになります。
描画色から透明: 1 色だけ (描画色) 使用し、 完全不透明から完全透過まで徐々に変化がついています。 このグラデーションは穏やかに混じりあうコラージュ作品や霧の効果に非常に役立ちます。
「グラデーション」ダイアログはドッキング可能です。 その扱い方については 「ダイアログとその合体」 の節をご覧ください。
呼び出し方はつぎのとおりです。
画像ウィンドウのメニューより
→ →任意のドッキング可能なダイアログのボタンアイコン をクリックすると出てくるタブメニューより
→from the Toolbox, by clicking on the current gradient in the Brush/Pattern/Gradient area (if you have checked the 「Show active brush, pattern and gradient」 option in the toolbox preferences).
キーボードショートカット Ctrl+G
ダイアログが少なくともひとつ開かれておれば、 切り放したウィンドウ のリストが現れます。 このときは画像メニューより → と進めば「グラデーション」ダイアログを浮かび上がらせられます。
メニューにこのダイアログで基本中の基本といえるありふれた操作といえば、 単純ですがこの縦に長いグラデーションの一覧表を繰って GIMP の現行のグラデーションにしたいものを探し出しクリックする使い方でしょう。 選ばれたグラデーションはグラデーションを利用するあらゆる操作で使われます。
グラデーション一覧表のどれかを ダブルクリック するとその名前を変えられるグラデーションエディターが開かれます。 ただし変更できるのは自前でインストールしたものに限られ、 GIMP と一緒に提供されたグラデーションファイルは対象外です。 仮に変更の権限の及ばないものの名前を編集しても、 これを確定しようとして Enter キーを押したりどこか他のところを触るとたちまち名前は元に戻されます。
グラデーションダイアログのタブメニューで 「並べて表示」を選ぶとグラデーションは升目状に並べられます。 この表示は結構壮観ですが、 隣同士が視覚的に干渉してしまうので欲しいものを探すのはあまり楽ではありません。 初期設定のままの「一覧で表示」の方がもっと便利で、 グラデーションは各行ごとに名前つきで表示されています。
と を切り替えられます。タブメニューの
サブメニューでダイアログに表示されるグラデーション見本をお好みの大きさに調節できます。このダイアログの底部に並ぶアイコンボタンはグラデーションを操作するさまざまな機能があります。
このアイコンボタンは (後述する) グラデーションエディター を呼び出します。
このアイコンボタンをクリックすると簡単なグレースケールで配色された新たなグラデーションが追加され、 これを変更できるグラデーションエディターが開かれます。 作成されたグラデーションは GIMP の個人用ディレクトリー内の gradients
フォルダーに自動的に保存され、 次回の GIMP 起動時から自動的に読み込まれるようになります。 (これらのフォルダーは 設定 ダイアログの → のページで追加できます。)
このアイコンボタンをクリックすると現在選択されているグラデーションの複製がとられます。 元ファイルが書き込めなくても複製ならば編集できるでしょう。
現在選ばれているグラデーションを削除できる権限をお持ちでしたら、 このボタンをクリックすればダイアログ上のみならず保存されていたグラデーションファイルまで跡形もなく消し去れます。 実行に移すまえに確認が求められます。
グラデーションエディターを使わない何らかの方法で新たにグラデーションファイルを個人用 gradients
フォルダーなどに追加したときは、 このボタンをクリックすればダイアログの一覧表が読み込み直されて、 新しいグラデーションも使えるようになります。
これらのアイコンボタンでできる操作はこのダイアログのポップアップメニューにもあります。 このメニューを呼び出すにはグラデーションの一覧表のどこかを
でクリックするか、 タブメニューの筆頭にある サブメニューに進みます。グラデーションダイアログのメニューには他にも項目があります。
グラデーションを POV-Ray (Persistence of Vision Raytracer) 3 次元レイトレーシングプログラムのファイル形式で保存できます。
この指令はグラデーションファイルの場所 (パスとファイル名) をクリップボードに取り込みます。 テキストエディターなどで利用してください。
この指令は現在選択されているグラデーションで塗りつぶされた資料用画像を作成するスクリプトを起用します。 ダイアログウィンドウが現れますのでグラデーションの向きや画像の幅と高さを指定してください。
CSS (Cascading Style Sheets) 言語の使い道は、 HTML や XML ファイルの表示形式、 具体的にいえば背景色やフォントの大きさなど、 そしてグラデーションがかかった背景です。 この CSS 化保存スクリプトは CSS3 形式の線形グラデーション生成機能になっており、 GIMP の任意のグラデーションからデータを取り出して CSS3 式コードの断片に変換したものをファイルに保存できます。 このコード断片はテキスト形式のファイルですので内容をスタイルシートに貼り付ければ、 それを読み込んだ HTML ファイルは Firefox や Chrome や Safari のようなウェブナビゲーター上の表示がグラデーション背景つきになります。
コード断片の例をつぎに示します。 これは青緑のグラデーションです。
「Save as CSS...」で作成した CSS 断片.
background-image: linear-gradient(top, rgb(0,123,255) 0%, rgb(72,226,255) 56%,
rgb(0,255,161) 100%);
background-image: -moz-linear-gradient(center top, rgb(0,123,255) 0%,rgb(72,
226,255) 56%,rgb(0,255,
161) 100%);
background-image: -webkit-gradient(linear, left top, left bottom,
color-stop(0.000, rgb(0,123,255)),color-stop(0.566, rgb(72,226,255)),
color-stop(1.000, rgb(0,255,161)));
タグはグラデーションの一覧表示を再構成するのに使えます。 「タグづけ」 をご覧ください。
グラデーションエディターでグラデーションの配色が編集できます。 ご自身で作られたグラデーションファイル (あるいはシステムが提供するものの複製) を対象としており、 GIMP と一緒にインストールされたシステム付属のグラデーションファイルは編集できません。 このエディターは凝ったつくりの精巧なツールなので習得するまでにちょっと骨が折れます。 そのコツはグラデーションをいくつかの セグメント (分節) の連なりととらえ、 それぞれの分節は左端の色から右端の色へ徐々に変化がついていると考えることです。 グラデーションエディターではセグメントをいくつでも連ねられ、 各分節の左右の端の色にはどんな色も使えますし、 左から右への色変化の形状にもさまざまな選択肢があります。
グラデーションエディターダイアログを起用する方法はつぎのいずれかです。
グラデーションダイアログの一覧表で加工対象のグラデーションの見本をダブルクリック
一覧表で加工対象のグラデーションを
クリックして出てきた脈絡メニューの を選択グラデーションダイアログの アイコンボタンをクリック
グラデーションダイアログのタブメニューボタン をクリックして出てくるメニューより
→最初の語句入力欄でグラデーションにつける名前を編集できます。
Below the name, you see the current result of your work if the Instant update option is checked; else, changes will appear only when you release the mouse button.
マウスポインターは図面上にかざすと「スポイトツール」のようなはたらきをします。 各地点でのピクセル情報はダイアログの下部にやや変わった方法で表示されます。 位置 は小数点以下が 3 桁の数値で表され、 0.000 がグラデーションの左端を、 1.000 が右端を示します。 RGB は赤・緑・青の各要素が (0 から 255 ではなく) 0.000 から 1.000 までの割合で表され、 HSV は色相と彩度を 0.000 から 1.000 の割合で、 明度は 0.0 から 100.0 の値で示されます。 輝度 と 不透明度 は 0.000 から 1.000 の範囲で示されます。
図面上をクリックしてドラッグすると 位置 と RGB のみの表示になります。 この操作ではマウスポインターの位置の色がツールボックスにも示される描画色になり、 グラデーションダイアログの一覧表の最初の 4 つのグラデーションはこの色を基に再構成されます。 (Ctrl キーを押しながらだと背景色が換わります。)
グラデーションの図面のすぐ下の帯には小さな白と黒の三角形があって、 これらを移動してグラデーションの終端と中間点が指定できます。 セグメント とは連続する 2 つの 黒 い三角形で区切られた分節のことです。 どのセグメントにもその中に白い三角形があり、 その移動がセグメントの色の変化位置を「逸らせる」のに使えるところは「レベル」ツールのダイアログで中間スライダーポイントの果たす役目に近いものがあります。 セグメントを選びとるにはその区切りとなる黒い三角形の間をクリックしてください。 するとその区間が強調表示されます。 複数のセグメントを連ねて選択するには Shift キーを押しながらクリックしてください。 同時に選択できるセグメントは 連続 していなければならないため、 Shift キーを押しながら隣り合わないセグメントを選ぶと両者の間のセグメントも自動的に選択されます。
スライダーやセグメントや選択対象を移動できます。 直にスライダーを クリックしてドラッグすればその周囲の色変化が調節できます。 セグメントを クリックしてドラッグすると隣のセグメントの白スライダーまで移動できます。 Shift キーを押しながらだとセグメントもしくは選択区間を移動できますが、 両隣のセグメントの一方を拡大させつつ一方が幅 0 になるまで寄せられます。
スライダーが並ぶ帯の下にはスクロールバーがあります。 ダイアログ下部にある拡大ズーム表示ボタンを使ったときには繰り寄せが必要になるでしょう。
その下にはマウスカーソルの位置の色を示す色見本があります。 またこの色に関する情報とためになるてびきや応答メッセージがここに表示されます。
ダイアログの底部には 5 つのボタンがあります。
このアイコンボタンをクリックするとグラデーションが個人用 gradients
フォルダーに現在の状態で保存されます。 つまり次回から GIMP 起動時にこのグラデーションも自動的に読み込まれます。
このアイコンボタンをクリックするとグラデーションに対する変更がすべて取り消され[ることになる予定になってい]ます。 (残念ながらこの機能は未完成ですので使用できません。)
このアイコンボタンをクリックすると図面が左右に縮小します。
このアイコンボタンをクリックするとグラデーションの図面が左右に拡大します。 ウィンドウからはみ出したところはスクロールバーを使って繰り寄せられます。
このアイコンボタンをクリックすると図面は左右の大きさが調整され、 ウィンドウの枠内にぴたりと収まる倍率で表示されます。
グラデーションエディターの脈絡メニューを呼び出すにはこのダイアログの図面上を
でクリックするか、 タブメニューの最初の項目を進んでください。 このメニューでは終端の色の編集 (各セグメントの左端と右端の色の設定) や混色の編集ができ、 色モデルの選択とセグメントの編集ができます。 このエディターが対象とするグラデーションファイルは自作や自前のものと、 システム提供ファイルからの複製に限られます。つぎにメニューに並ぶ各項目を見てゆきましょう。
終端の色を編集
これはサブメニューがあります。
このサブメニューで終端の色はツールボックスの色標識に表示される描画色と背景色を用いるように変えられます。 こののち描画色と背景色が変化するたびこの終端の色も同時に変化しつづけます。 その反対に色をこのままにしておくには
を選びます。これらのオプションは色の変更ダイアログを開きますのでその終端の色を指定します。
注記 | |
---|---|
このコマンドは前掲のメニューに連動しており、 その終端の色のタイプに 以外を選んでいるときは、 終端色を選ぶこのメニューが灰色無効になります。 |
これらのオプションを使うと他にもいろいろな方法で終端の色を指定できます。 このサブメニューで選べる読み込み元はつぎのとおりです。 (左終端色について扱っているものとします。)
ここを選ぶと現在選択している範囲の左終端の色に左隣の分節の右終端の色が使われます。 セグメントの境界が滑らかにつながります。
ここを選ぶと現在選択している範囲の左終端の色が右終端の色と同じになります。
ここを選ぶとツールボックスにも示される GIMP の描画色や背景色がこの終端の色に使えます。 ちなみにこの後で描画色や背景色を変更してもここの終端色が変化するわけではありません。
このサブメニューの残りは 10 個の「保存庫」です。 後述する サブメニューで個々に色を割り当てられます。 ここで選んだ枠の色が終端色に使われます。
この 2 つのサブメニューは現在その端点に使われている色を、 サブメニュー内で指定した「保存庫」にとりこみます。
「パレットダイアログ」や「描画色/背景色」ダイアログ、 あるいはツールボックスから色標識をクリックしてドラッグで
終端点 (黒三角形) 上に曳き込めばそこに接する左右の終端色が変更でき、
グラデーション表示領域に曳き込めば新たに終端点が追加され、 できた端点の両面の終端色がその色に設定されます。
セグメント内での混色と色づけの機能
このオプションは選択範囲 (ひとつもしくは複数が連続するセグメント) の一方の終端からもう一方の終端までの色の変化の様態を設定するためのものであり、 終端と中間点にいずれかの関数が適用されます。
既定ではこの関数が選ばれています。 終端から終端までの色変化は直線的です。
漸進的な色変化は選択範囲の中程よりも両終端に近いところほど色変わりの度合いが大きくなります。
カーブの関数とは対照的に漸進的な色変化は選択範囲の両終端よりも中間点に近いところほど色変わりの度合いが大きくなります。
選択範囲の左側が右側よりも急激に色変わりします。
選択範囲の右側が左側よりも急激に色変わりします。
このオプションでは選択範囲の中での色変化を 色モデル から指定できます。
、 、 の 3 つのセグメントを加工
このオプションは選択範囲 (ひとつもしくは複数が連続するセグメント) のすべての色と終端の位置を左右反転して配置します。
このオプションは選択範囲 (ひとつもしくは複数が連続するセグメント) を 2 等分し、 元の範囲の内容の完全な複製を半分の幅に圧縮して 2 つ並べます。
このオプションは選択範囲のセグメントをそれぞれ 2 つずつに切り分け、 元のセグメントの白い三角形の位置が両分節の境界となるように配置します。
このオプションは前項と似ていますが 2 つずつに切り分けられたセグメントの境界は中間点の白三角形の位置ではなく範囲を 2 等分する中点に置かれます。
このオプションは選択範囲 (ひとつもしくは複数が連続するセグメント) 内のすべてのセグメントを消去し、 その代わりにこの範囲の中央に黒い三角形をひとつだけ置き、 選択範囲の両隣のセグメントを拡大して空隙を埋めます。
このオプションは選択範囲内のすべてのセグメントの白い三角形を各セグメントの幅を 2 等分する中点の位置に移動します。
このオプションは選択範囲内のセグメントの幅を均一にし、 各セグメントの白三角形をその中点に移動します。 選択範囲内の黒と白の三角形の互いの幅は等しくなります。
終端の色の調和
この 2 つのオプションは複数の連続するセグメントを選択したときだけ利用できます。
注意 | |
---|---|
グラデーションエディターでの作業は「取り消し」が効きません。 十分お気をつけください。 |
オプションの説明ばかりで少々うんざりされたかと思います。 ここはひとつ使用例を見てすっきりさせましょう。
グラデーションダイアログを開いてください。 「新しいグラデーションを作成」アイコンボタン をクリックします。 グラデーションエディターダイアログが開かれ、 その図面領域に黒から白のグラデーションが表示されています。
新しいグラデーションを
でクリックして脈絡メニューを呼び出し、 を選んでください。 出てきたダイアログに適当な数を入れましょう。グラデーションを
クリックして脈絡メニューを呼び出し、 選んでおいたセグメントもしくはセグメント群の と をそれぞれ指定します。他のセグメントにも同じ手順を踏んでください。 そのあとは「セグメントの色を調和させる機能」を使っていろいろな効果を引きだしましょう。