3.13. 修復ブラシ

図14.96 ツールボックス上の修復ブラシツールアイコン

ツールボックス上の「修復ブラシ」ツールアイコン

このツールについては以前、 修復ブラシツールはまるでステロイド注入でスマートになったクローンツールみたいだと書かれたことがあります。 確かに修復ブラシツールスタンプで描画ツールと近い間柄ながら、 画像の小さな汚れやきずを除去するのにはこちらの方がきびきびとこなします。 写真に写った皺をとりのぞくのはお手のものです。 その違いは、 参照元から修復箇所への単純な画素 (ピクセル) 転写ではなく、 修復箇所の周辺の画素情報までも考慮した転写にあります。 この技術は Todor Georgiev 氏の数学論文 [GEORGIEV01] に示された数式を利用しています。

To use it, first choose a brush with a size adapted to the defect. Then Ctrl-click on the area you want to reproduce. Release the Ctrl key and drag the sample to the defect. Click. If the defect is slight, not very different from its surrounding, it will be corrected as soon. Else, you can correct it with repeated clicks, but with a risk of daubing.

3.13.1. 呼び出し方

このツールを起用する方法はつぎのいずれかです。

  • 画像ウィンドウのメニューより ツール描画ツール修復ブラシ

  • ツールボックスのツールアイコン

  • キーボードショートカット H

3.13.2. キー修飾 (初期設定)

Ctrl

このキーは参照元を指定するのに使います。 修復にはどの画像のどんなレイヤーからでも、 活性化させてから (レイヤーダイアログで強調表示される)、 Ctrl キーを押しながら画像ウィンドウ上でクリックすれば利用できます。 もし位置合わせをツールオプション上で なし揃える に指定した場合にはクリックした位置が修復転写の参照原点となります。 その位置の画像データが修復ツールの塗りはじめに充てられます。 このキーで参照元を指定する間、 カーソルはトンボ十字の姿に変わります。

Shift

参照元が決まったら、 このキーを押せば直前にクリックした位置と現在のポインターの位置との間を結ぶ細い線が現れます。 Shift キーを押しながら再びクリックするとその線上に沿って修復が行われます。

3.13.3. オプション

図14.97 修復ブラシツールのツールオプション

「修復ブラシ」ツールのツールオプション

一般的にはこのツールを起用すると、 そのツールオプションがツールボックスの下に繋げられたウィンドウ上に現れます。 そのようなウィンドウが見あたらないときは、 画像ウィンドウのメニューより ウィンドウドッキング可能なダイアログツールオプション と辿れば今使っているツールのツールオプションウィンドウが開きます。

Mode; Opacity; Brush; Size; Aspect Ratio; Angle; Spacing; Hardness; Dynamics; Dynamics Options; Force; Apply Jitter; Smooth Stroke; Lock brush to view

描画ツールの全般もしくは大多数に共通するツールオプションについての説明は 描画ツール共通のオプション をご覧ください。

Hard edge: this option gives a hard contour to the healed area.

見えている色で

このオプションを有効にすると、 参照元レイヤーに限らずその画像のすべての可視レイヤーに基づいて修復が行われます。

See 「スタンプで描画 (クローン)」 for using Sample Merged in non-destructive image editing.

位置合わせ

このオプションは スタンプで描画ツール で説明してあります。

3.13.4. 修復と転写の相違点

修復ブラシツールにはスタンプで描画ツールと共通した機能がありますが、 実行結果はまるで違います。

図14.98 修復転写の比較

「修復」と「転写」の比較

Cloning on the left. All colors are transferred.

Healing on the right. Colors are much less transferred, especially on borders where surrounding pixels of destination are taken in account.