フィルターは団子状のドットを用いたディザリングにより画像を網点化します。 別名ハーフトーンフィルターともいいます。 網点とはもともと多階調な灰色濃淡画像だとか色変化に連続性のあったカラー画像を、 色数の極めて限られたある種の印刷機や植字機のような 2 階調デバイスなどで描画するための処理方法です。
基本的前提として解像度の向上と色深度の擬似的増強は相反関係にあります (空間的なディザー処理で知られていることです)。
網点化にはいろいろな技法が考えられていますが、 一番簡単な方法は色の階調情報から下位ビットを切り落としてしまうことです。 「ポスタリゼーション」 ツールがこの方法をとります。 残念ながら仕上がりの見栄えはあまりよろしくありません。 でも空間的な解像度は低下しません。
このフィルターは整列させた密集ドットによるディザー処理を用います。 これは画像の微小な区画を小さな点で描き、 画像上でのその区画を表現するのに必要な強度に応じて点の大きさを伸縮させる表現方法であり、 画像の解像度は下がります。
仮に元画像の上に方眼をかぶせてみたと想像してください。 画像は格子線で区切られた升目に分割できます。 それぞれの区画にはいくつもの画素が色を持っていますが最終的にひとつの点 (スポット) に集約され、 元画像上でその区画がもつ濃度が点の大きさで近似されてゆくのです。
明らかに升目の区画を大きくとれば解像度はガタ落ちになります。 各区画に描かれる点は円形をしており、 大きくなると菱形になります。 形状の変化は スポット形状 で制御できます。 スポット形状をいろいろ使えば点の伸縮で真っ白から真っ黒まで各区画の表現を自在に制御できます。
プレビュー オプションを有効にしておれば画像に実際にフィルターをかける前からダイアログ上で調節したとおりに即座に効果のようすが見て判るようになっています。 お使いのコンピューターが処理に時間を多く費すときはプレビューにチェックを入れっぱなしにしないのがコツです。
これら 3 つのスライダーは微小区画の大きさを直接もしくは入出力解像度で調節します。
元画像の入力解像度を標本密度 SPI (Samples Per Inch) で示します。 自動的に元画像の印刷解像度で初期化されます。
スクリーン線数 LPI (Lines Per Inch) で出力解像度を調節します。
区画の結果的な大きさをピクセル単位で指定します。 だいたいいつもここで直接設定されることになるでしょう。
ここで操作したい色空間を選びます。 RGB モードの場合は色空間の転換がありません。 CMYK モードではまず内部的に CMYK 色空間に転換され各色チャンネルが個別に網点処理されたあとで最終的には RGB 画像に再統合されます。 強度 モードでは画像が内部的にグレースケール化されてから網点処理が行なわれ、 その結果が元の画像のアルファチャンネルに転化されます。 この出力は特別な効果にうまく使えそうですが、 最良な結果を出すには少し経験を必要とします。 結局どれにしようか迷ったらとりあえず CMYK でやってみましょう。
RGB から CMYK に空間の転換をする場合にどの程度黒 (K) を使うかを指定します。 100% で最も黒が強くなります。 RGB や 強度 を選んだ場合はこのオプションは灰色無効となって利用できません。
このオプションを有効にした場合、 整列する網点の 角度 や スポット形状 の設定をすると他のすべてのチャンネルに変更が及びます。 [角度の調節を行なうと網点が揃ってしい合成黒が目立ち過ぎる結果になるので注意しましょう。]
このボタンは 角度 と スポット形状 の設定値を元に戻します。
角度 とはスクリーン角度のことであり、 セルの整列方角を示しています。 0.0 が 9 時の方向をさし、 時計回りに 360.0 までの角度の範囲で指定します。
スポット形状 もそのチャンネルごとに設定できます。 (プレビューで青色区画の状態をご覧ください。)
アンチエイリアス 厳密な意味では網点処理にアンチエイリアス化は必要ありません。 その目的自体が色深度の低減にあるからです。 けれどもこのプラグインにとっては特殊効果という位置付けなので、 出力結果は白黒プリンターだけとは限らずコンピューター画面にも現れます。 というわけで紙の上でインクが擦れた感じを再現するためにちょっとアンチエイリアスをかけると結構便利です。 紙に実際に印刷するつもりならアンチエイリアス化の値は 1 に (つまりオフに) にしてください。
出力側の画素の値を得るため標本にとられるサブピクセルの個数を設定します。 1 個に設定するとこの機能は無効です。 ご注意: あまり大きな数を指定すると処理時間が非常に長くなります。