このツールについては以前、 「修復ブラシツールはまるでステロイド注入でスマートになったクローンツールみたいだ」と書かれたことがあります。 確かに「修復ブラシツール」は「スタンプで描画」ツールと近い間柄ながら、 画像の小さな汚れやきずを除去するのにはこちらの方がきびきびとこなします。 写真に写った皺をとりのぞくのはお手のものです。 その違いは、 参照元から修復箇所への単純な画素 (ピクセル) 転写ではなく、 修復箇所の周辺の画素情報までも考慮した転写にあります。 この技術は Todor Georgiev 氏の数学論文 [GEORGIEV01] に示された数式を利用しています。
使用するにあたっては、 まずきずの大きさに合わせてブラシを選びます。 次に Ctrl キーを押しながら再生の元となる領域をクリックします。 Ctrl キーを放してからきずの場所までドラッグしてゆきます。 再度クリックします。 もしきずが浅く周囲からあまり際だったものでなければ、 これで直ちに修復が済みます。 すぐできなくてもクリックを繰り返せば直りますが、 塗り過ぎに注意しましょう。
このキーは参照元を指定するのに使います。 修復にはどの画像のどんなレイヤーからでも、 活性化させてから (レイヤーダイアログで強調表示される)、 Ctrl キーを押しながら画像ウィンドウ上でクリックすれば利用できます。 もし位置合わせをツールオプション上で か に指定した場合にはクリックした位置が修復転写の参照原点となります。 その位置の画像データが修復ツールの塗りはじめに充てられます。 このキーで参照元を指定する間、 カーソルはトンボ十字の姿に変わります。
参照元が決まったら、 このキーを押せば直前にクリックした位置と現在のポインターの位置との間を結ぶ細い線が現れます。 Shift キーを押しながら再びクリックするとその線上に沿って「修復」が行われます。
一般的にはこのツールを起用すると、 そのツールオプションがツールボックスの下に繋げられたウィンドウ上に現れます。 そのようなウィンドウが見あたらないときは、 画像ウィンドウのメニューより
→ → と辿れば今使っているツールのツールオプションウィンドウが開きます。このオプションを有効にすると、 参照元レイヤーに限らずその画像のすべての可視レイヤーに基づいて修復が行われます。
このオプションは スタンプで描画ツール で説明してあります。