ヒストラムダイアログは活性レイヤーもしくは選択範囲内で使われている色の統計分布の情報とその図面を表示します。 この情報は画像の色調の平衡 (カラーバランス) をとる場合に重宝するでしょう。 ただしヒストグラムダイアログは情報を見せてはくれますが操作はできません。 ヒストグラムを利用して色の修正を行なうのなら レベル ツールをお使いください。
「ヒストグラム」ダイアログはドッキング可能です。 その扱い方については 「ダイアログとその合体」 の節をご覧ください。
呼び出し方はつぎのとおりです。
画像ウィンドウのメニューより
→ →任意のドッキング可能なダイアログのボタンアイコン をクリックすると出てくるタブメニューより
→画像ウィンドウのメニューより
→ →ダイアログが少なくともひとつ開かれておれば、 切り放したウィンドウ のリストが現れます。 このときは画像メニューより → と進めば「ヒストグラム」ダイアログを浮かび上がらせられます。
メニューにGIMP の画像はそれぞれのレイヤーを 1 つ以上の色チャンネルに分解できます。 RGB 画像ならば赤・緑・青の色チャンネルに、 グレースケール画像なら明度チャンネルひとつにです。 透過効果を得たレイヤーにはもうひとつ、 アルファチャンネルが加わります。 いずれのチャンネルも強度レベル値 (整数値) が表せる 0 から 255 の範囲をもちます。 なので、 黒の画素ではすべての色チャンネルの値が 0 になります。 逆に白い画素ではすべての色チャンネルを 255 にします。 透明な画素ではアルファチャンネルの値が 0 になり、 不透明な画素だと 255 になります。
RGB 画像にあると便利なのが「明度」と呼ばれる仮想チャンネルです。 これは現実にある色チャンネルではありません。 つまり画像に入っている情報をそのまま反映したものではありません。 各画素の明度は RGB 値に基づき、 等式 V = max(R,G,B) によって算出されます。 本来明度とは画像をグレースケールモードに変換したとき各画素に与えられる数値のことです。
チャンネルに関する情報については 「画像の形式」 も参考にしてください。
ダイアログの最上部に活性レイヤーの名前が表示されています。
このメニューで見たいチャンネルに合わせます。 活性レイヤーの類型によっては使えないチャンネルもあり、 そのチャンネルは灰色無効になっています。 それではそれぞれのチャンネルとその内容を見てゆきましょう。
RGB およびグレースケールの画像の場合はレイヤー全体の明るさの分布を図示します。 グレースケール画像においてはその明度をそのまま読み取ります。 RGB 画像においては明度の仮想チャンネルを算出します。
インデックス付きカラー画像においては名前こそ「明度」ですが実際はカラーマップの対照表の順番にその利用頻度を表しています。 つまりこれは正当な色分布ヒストグラムではなく「仮想色」ヒストグラムなのです。
これらのチャンネルは RGB 画像のレイヤーにおいてのみ現れます。 赤・緑・青の各チャンネルごとに強度分布が図示されます。
これは透明度分布を図示します。 レイヤーが完全透過 (アルファ値 = 0) や完全不透明 (アルファ値 = 255) になっておれば、 このヒストグラムはそれぞれ左端か右端に一本だけの棒グラフが立つ図になります。
この RGB 色レイヤー専用の項目を選ぶと赤・緑・青の各チャンネルが折り重なって図示され、 各色の分布がまとめて一望できます。
この 2 つのボタンがヒストグラムの縦方向 (Y軸) に線形尺か対数尺のどちらを用いて表示をするのかを決めます。 写真を使った画像においては通常役立つのはほとんどが線形モードです。 しかし同じ色の部分がかなり広い画像の線形ヒストグラムは一本だけの棒グラフが突出してしまう図面になるため、 むしろ対数ヒストグラムのほうが役立つ場合は多くなります。
ダイアログの下部に表示される分析はここで範囲を絞ると局所的な観測結果を出します。 観測範囲の設定方法はつぎの 3 通りあります。
ヒストグラムの図面上をマウスポインターでクリックして横にドラッグすると、 その始点と終点の横軸上の各位置が観測範囲の下限と上限になります。
ヒストグラムの図面下部にある黒 (下限) と白 (上限) の三角形のスライダーはそれぞれクリックしてドラッグすると移動できます。
スライダー部分の下側にある左右のスピンボタン[17]を使います (左側は下限、 右側は上限です)。
ダイアログの底部には指定された観測範囲でのチャンネルの分布値について基本的な諸統計量が表示されます。
平均: 現チャンネルの指定された範囲での平均値です。
標準偏差: 指定範囲内での分布値にどの程度の等質性があるかがわかります。
中心値: たとえば集中度が同じ尖端が図面の範囲内で等間隔に 100 本あれば 50 番目の尖端が中心値です。
総ピクセル数: 活性レイヤーもしくは選択範囲内での総画素数です。
対象ピクセル数: ヒストグラムをクリックした場合はその強度だけを示す画素の総数、 上限と下限が異なる場合はその範囲の強度をもつ画素の総数です。
パーセンタイル: 総ピクセル数に対する対象ピクセル数の割合を百分率で表します。
[17] スピンボタンは整数値を直接記入できる入力欄があるほか、 付属の小さな上下矢印ボタンや 上 下 キーで 1 つずつ、 PgUp キーや PgDn キーで 16 ずつ数値を繰り上げ/繰り下げられます。