8.16. チャンネル分解

8.16.1. 概観

図15.153 画像の分解 (RGB)

画像の分解 (RGB)

元画像

画像の分解 (RGB)

分解したチャンネルをレイヤーに展開 にチェックなし、 RGB分解でチャンネル分解コマンドを適用


図15.154 画像の分解 (RGB)

画像の分解 (RGB)

元画像

画像の分解 (RGB)

分解したチャンネルをレイヤーに展開 にチェックあり、 RGB分解でチャンネル分解コマンドを適用


チャンネル分解... コマンドは画像をチャンネル (RGBHSVCMYK …) に分解しそれらを元に複数の画像もしくは複数のレイヤーからなる画像を生成します。

8.16.2. コマンドの呼び出し方

  • 画像ウィンドウのメニューより 色要素チャンネル分解...

8.16.3. オプション

図15.155 チャンネル分解コマンドのオプション

「チャンネル分解」コマンドのオプション

取り出すチャンネル

つぎのオプションについては 分解したチャンネルをレイヤーに展開 にチェックが入っていることを想定して説明しています。

色モデル
RGB

RGB を選択すると赤・緑・青のそれぞれのチャンネルの値を示す灰色濃淡の3層のレイヤーとグレースケールおよびアルファの2つのチャンネルが生成されます。

しきい値 ツールと併用するとおもしろい機能をします。 またRGBチャンネルを表すどれかのレイヤーで選択範囲を切り取って貼り付けたり移動する操作もできます。 ほかにも引き出したグレースケールレイヤーを画像ウィンドウのメニューの 選択チャンネルに保存 コマンドでチャンネル化すれば選択範囲やマスクとして利用できます。

RGBA

RGBA を選ぶと、 RGB分解されたチャンネルと元画像で透明度を表していたアルファ値が加わった4層のレイヤーからなる画像が生成されます。 完全透明な画素は黒く、 完全不透明な画素は白で表されています。

HSV

HSV オプションは元画像の色相と彩度と明度からなる3層のグレースケールレイヤーを生成します。

色相 レイヤーもグレースケール化していますが、 これで色相を表しています。 白と黒は色相環で始点と終点であり重なっています。 その位置は赤色を示します。 中間の灰色は色相環の途中の色を示し濃度により対応する色が異なります。 暗い灰色はオレンジ色を、 中間的な灰色は緑を、 明るい灰色はマゼンタに相応します。

彩度明度 のレイヤーでは白が最大彩度 (純粋色) と最大明度 (極端に明るい) を示します。 黒は最小彩度 (白) と最小明度 (黒) を示します。

HSL

HSL オプションは HSV オプションに似ています。 しかし3層目のレイヤーは明度 (Value) の 代わりにL成分[輝度]が元となっています。

CMY

CMY オプションは画像をイエロー、 マゼンタ、 シアンの色成分を元に3層のグレースケールレイヤーを生成します。

このオプションはCMYが扱える印刷ソフトウェアに画像を渡すときに使えそうです。

CMYK

CMYK オプションは CMY オプションと似ていますが、 黒のレイヤーが追加されます。

このオプションはCMYKが扱える印刷ソフトウェアに画像を渡すときに使えそうです。

アルファ

アルファ オプションは画像のアルファチャンネルに収められている透明度情報を元にグレースケール画像を生成します。 その内容は チャンネルダイアログ の見本画像のように、 完全透明な画素を黒で、 完全不透明な画素を白で示します。 その中間は灰色になり、 その濃度で元画像の透明度の滑らかな変化を表します。

LAB

LAB オプションは L*a*b* 表色系のように元画像の光度を元にした L レイヤーと、 赤から緑の間の色を示す A レイヤー、 青からイエローの間の色を示す B レイヤーを生成します。

LAB分解は明るさ-色モデルの一種です。 ひとつのチャンネルで光度を示し残りの2つのチャンネルで色を示します。 L*a*b*色モデルは Photoshop で使用されています。

YCbCr

GIMPには YCbCr ITU R470YCbCr ITU R709YCbCr ITU R470 256YCbCr ITU R709 256 の4種類のチャンネル分解方法があります。 いずれのオプションも画像の明るさを元にしたグレースケールレイヤーと、 青み、 赤みのそれぞれの色尺を元にした2層のグレースケールレイヤーを生成します。

YCbCr 色モデルはYUV色モデルの一種です。 YUVはデジタルビデオに利用されています (そのはじめはPALアナログビデオでした)。 この色モデルはヒトの目が明るさに最も敏感で、 次に色彩の認識が強いことが基になっています。 YCbCr分解は変換行列を使用しますが、 4つのオプションの違いはITU (International Telecommunication Union: 国際電気通信連合) が勧告した変換行列の分類に基づいています。

分解したチャンネルをレイヤーに展開

分解したチャンネルをレイヤーに展開 オプションにチェックを入れると、 いずれもグレースケール画像が1つ作成され、 指定された色モデルのチャンネルはおのおのがその画像のレイヤーになります。 このオプションのチェックを外した場合は各チャンネルそれぞれを元にグレースケール画像が生成され、 元のチャンネルがよくわかる名前が自動的にその画像ウィンドウのタイトルにつけられます。

描画色領域を指定色で出力

[このオプション名は 描画色のピクセルをマーカーとして出力 に変更予定です。] このオプションはスペシャリストのために設けられました。 CMYK印刷に関連があります。 ここを有効にすると、 元画像で現在の描画色と同じ色をもつ画素がどの生成画像でも黒く塗られます。 これはチャンネルを分解してできたそれぞれの画像もしくはレイヤーに及びます。 この機能でどのチャンネルでも見えるしるしができますのでこれを基準に切り抜いて版を揃えるのに使えます。 登録した黒でトンボ印を印刷物に刷り込めば印刷原版の位置が揃っているかどうか検査するのに使えます。