図16.199 左から順に、 元画像、 マップ、 結果画像
マップは単色黒、 垂直グラデーション、 単色白の3つの帯で構成。 結果画像ではマップの両単色部分にあたるところにはぼかしがかかっていないことがわかる。 一方でマップのグラデーション部分に相当する位置はぼかしが入る。
「LIC」とは Line Integral Convolution (線積分畳込み) という数学理論のことです。 プラグイン作者はこの数学用語をフィルタの名前に加えたのです。 フィルタの用途は画像に方向性のあるぼかしを適用することと、 テクスチャを生成することのいずれかです。 画像に特定方向のぼかしをかけることから「乱視化」フィルタとも呼ばれます。
このフィルタはぼかしマップを利用しますが、 他とは違ってぼかしマップの陰影は使いません。 グラデーションの方向だけを考慮します。 マップの単色部分にあたる画素は変化を受けません。
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ヒント |
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フィルタが画像を扱うときに用いるチャンネルを 色相、 彩度、 明るさ (=明度) のいずれかに選んでください。
導函数 オプションを選ぶとグラデーションの向きが逆転します。
図16.201 導函数オプションの例
四角形グラデーションのマップを用い、 左図は操作関数を 勾配/グラデーション に、 右図は 導函数 に設定。 くっきりした線とぼかされた線は正反対に選ばれている。
畳込み演算には2種類から選べます。 まずはこの選択から始めてください。
ホワイトノイズは音響関係の用語です。 あらゆる周波数で同程度の大きさの振幅がみられるノイズのことです。 ここではパターンを生成するという意味のオプションです。
元画像にぼかしがかかります。
ここで選ぶのはぼかしを指示するマップ画像か方向パターンです。 このマップ画像は呼び出し元画像と同じ寸法でなくてはなりません。 グレースケール画像ならなお良いでしょう。 この一覧表で選べるようにするためフィルタを呼び出すより前に画面上に開いておく必要があります。
図16.203 四角形グラデーションがひとつあるマップを用いてぼかす
グラデーションマップは4つの三角形にそれぞれグラデーションがかかった形をしており、 その方向は互いに異なる。 画像のどんな位置にも何れかの三角形グラデーションが対応しているので、 そのグラデーションと同じ方向の線にぼかしがかかる。
フィルタ長 スライダは、 ぼかしをかける場合にはぼかしの重要度を制御します。 テクスチャを生成する場合には生地の粗さを制御します。 低い値は滑らかな質感となり、 高い値はごわごわした質感です。
図16.205 ぼかし用途でのフィルタ長の活用例
左図には 1 ピクセル幅の垂直線を、 右図には同様の線にフィルタ長を 3 とした垂直ぼかしを適用。 ぼかし後の線幅は左右 3 ピクセルずつの 6 ピクセルになる。
ノイズ強度 スライダはホワイトノイズの量と大きさを制御します。 低い値は肌理の細かい質感になります。 高い値は粒度が粗い生地になります。
積分ステップ スライダはテクスチャ生成用途でのグラデーションマップの影響力を制御します。
最小値 スライダと 最大値 スライダの両設定値はテクスチャのコントラスト幅を制御します。 幅を狭くとるとコントラストが強まり、 幅を拡げるとコントラストが弱まります。