5. GIMP 2.2 の新機能

GIMP 2.2 より導入された最も重要な新機能のいくつかについて手短に紹介します。 それ以外にも長い間ユーザーが感知し注意をしてきた (あるいは指摘された) 小さな変更があります。 プラグインのプログラミングや Script-Fu スクリプトの作成のレベルが変更されるという重大な変更があるのですがこれについては割愛させていただきます。

相互運用性と標準のサポート
  • ドラッグアンドドロップ (曳いて放つ) やコピーアンドペースト (写し取って貼りつける、 コピペ) の操作で、 GIMPの画像データを少なくとも AbiwordKword のような image/png 型サポートのアプリケーションに落とし込んだり、 Inkspace のような image/xml+svg 型サポートのアプリケーションに落とし込んだりできるようになりました。 同じく Inkspcape の曲線をGIMPに取り込んだり、 選択範囲を Abiword までドラッグして文書の文中に差し込んだりできます。

  • パターンには PNGJPEGXBMなどGtkPixbuf がサポートするすべての形式が使えます。

  • SVGファイルを読み込んでGIMPのグラデーションに、 ACTファイルやRIFFファイルを読み込んでパレットにできます。

  • ドラッグアンドドロップが拡張されました。 ファイルやURIを画像ウィンドウにドラッグして開いたり、 開かれている画像のウィンドウにドラッグしてレイヤーとして加えたりできます。

    [注記] 注記

    ただし Apple Mac OS X™ 上ではGIMPFinder の間ではドラッグアンドドロップがはたらきません。 これは Apple の X11.app にその機能が無いためです。

ショートカットエディタ

ショートカットが専用のダイアログで編集できるようになりました。 編集には 1.2 以来少し知られた動的ショートカット割り付け機能もひきつづき使えます。

プラグイン用プレビュー

プラグイン作者にとっては朗報な標準的プレビューウィジェットを用意しました。 これでプレビューをサポートする分だけ必要なコードが減らせます。 David Odin 氏が現在提供されているフィルタのすべてにこのウィジェットを統合させましたので、 GIMPのフィルタは設定を即座に反映するプレビューがついたプラグインがぐんと増え、 いろいろなプレビューがなお一層統一感のある動作をするようになりました。

変形操作用の即時プレビュー

剪断変形、 拡大・縮小、 遠近法、 回転の各変換ツールが伝統的モードにすると変形操作の状況を即時プレビューに表示できます。 これまではグリッド (格子線) が変形する表示しかありませんでした。

GNOME ヒューマンインタフェースのガイドラインに適合

GIMPのインタフェースをさらに簡素にするべく数多くの工事が行なわれ、 GIMPが初めての人でももっと使い易くなりました。 我々のあらん限りの知識を動員してほとんどのダイアログでこのGNOME HIGに準拠しました。 さらに数々の高度なオプションをダイアログから分離もしくは廃棄して変ではない初期設定値にしたり普段は隠すようにしました。

GTK+ 2.4 に載せ替え
  • メニューには GtkUIManager を採用しXMLデータファイルから動的にメニューを構築させることにしました。

  • ファイルの読み込みや保存を行なうGIMPのあらゆる場面で使われるファイル選択ダイアログが徹底的に改造されました。 この最大の長所がブックマークを作成できることで、 簡単に手早くいつも使うディレクトリに導かせられます。

  • 装飾的なARGBカーソルのサポートが実現し、 システムで利用可能になっておればGIMPでも使えます。

基本的なベクトルのサポート

GFig プラグインを使って基本的なベクトルレイヤーの機能をGIMPでサポートできました。 GFig プラグインはベクトル描画においてグラデーション塗りつぶしやベジエ曲線や曲線に沿った描線といった数々の機能をサポートします。 正多角形や不規則な多角形をGIMPで作成する一番簡単な方法にもなっています。 GIMP 2.2 からは GFig で作ったレイヤーの図形はあとから再び GFig で編集が可能になっています。 しかしベクトル描画に特化した Inkscape のようなプログラムに比べるとまだまだベクトルのサポートは極めて原始的な水準です。

そのうえ . . .

他にもユーザーの目に見える小さな機能があります。 このあとはそんな機能を矢継ぎ早に紹介しています。

  • X サーバがなくてもバッチモードでGIMPを稼動できます。

  • GTK+に全くリンクしないGIMPバイナリ (GIMPコンソール) があります。

  • 拡張入力デバイスのインタフェースを改良しました。

  • 編集可能なツールボックス—ツールボックスに載せるツールアイコンを選べるようになり、 順序も指定できます。 特に色ツールを一部もしくは全部ツールボックスに載せることも可能です。

  • ヒストグラム機能は赤・緑・青のヒストグラムを明度ヒストグラムが覆うものとなりました。 ヒストグラムは選択範囲内の画素だけから算出されます。

  • ショートカットはすべてのGIMPウィンドウで共有されます。