2.5. ファジー選択 (魔法の杖; 自動選択)

図14.21 ツールボックス上のファジー選択ツールアイコン

ツールボックス上の「ファジー選択」ツールアイコン

ファジー選択ツール (魔法の杖、 自由選択ツール) は画像またはレイヤーから同系色をもとに選択をとるためのものです。

このツールを使う場合には最初の位置を決めることが極めて重要です。 変なところを選んでしまうとなかなか思ったとおりの範囲が作れないばかりか、 要らない部分が入ってしまうこともありえます。

この杖は輪郭のはっきりした形象を選択するのに適したツールです。 使ってみれば面白いこともあって、 初心者はたびたび連用しがちです。 でも思ったとおりに選択させるのは結構難しいので、 所詮使えば使うほどいらいらが募るしろものだとも気付かれることでしょう。 熟練したユーザーは パス ツールとか 色域選択 ツールのほうがずっと能率的にできると知っていて、 この杖はそんなには使いません。 それでも、 輪郭の内側を選択するとか選択の欠けたところを補うとかの作業には便利です。 殊に単色 (もしくはほぼ単色) な背景部分を選択するのなら非常にうまくやりとげます。

選択範囲は中心からみて膨らんでいるように見えますが、 となりあう画素 (ピクセル) が染まったからだけではありません。 しきい値 に基づいて小さな間隙を飛び越えてつながりあえるからです。 しきい値は選択の起点をとったあとのファジー選択の最中にマウスポインターを下方向 (または右方向) にドラッグすると増加し、 上方向 (または左方向) にドラッグすると減少します。

2.5.1. 呼び出し方

選択ツールを起用する方法はつぎのいずれかです。

  • 画像ウィンドウのメニューより ツール選択ツールファジー選択

  • ツールボックスのツールアイコン

  • キーボードショートカット U

2.5.2. キー修飾 (初期設定)

ファジー選択に固有の修飾キーはありません。 選択ツールに共通のものなら同じように使えます。 詳しくは 選択ツール をご覧ください。

2.5.3. ツールの操縦

図14.22 魔法の杖ツールを使用: 選択された画素は接しあっている

魔法の杖ツールを使用: 選択された画素は接しあっている

はじめは画像上のクリックされた点から選択を開始し、 水が低いところへ流れこむように、 最初の画素と類似色の隣りあった画素がつぎつぎと選択されてゆきます。 類似性のしきい値はマウスポインターを下方向 (または右方向) にドラッグしてゆくと増加し、 選択範囲が拡がります。 選択範囲を控え目にするのなら上方向 (または左方向) にドラッグしてゆきます。

You can move the selection outline using Alt + arrow keys.

2.5.4. オプション

図14.23 ファジー選択ツールのツールオプション

「ファジー選択」ツールのツールオプション

一般的にはこのツールを起用すると、 そのツールオプションがツールボックスの下に繋げられたウィンドウ上に現れます。 そのようなウィンドウが見あたらないときは、 画像ウィンドウのメニューより ウィンドウドッキング可能なダイアログツールオプション と辿れば今使っているツールのツールオプションウィンドウが開きます。

[注記] 注記

See Selection Tools Options for help with options that are common to all these tools. Only options that are specific to this tool are explained here.

モード; なめらかに; 境界をぼかす

選択ツール共通のオプションです。

これらのオプションはファジー選択ツール (魔法の杖) が開始点から選択範囲を拡げてゆく手段を左右します。

透明部分も選択可

このオプションは魔法の杖が完全透明な領域をも選択する自由を与えます。 このオプションを無効にすると透過領域は全く選択されません。

見えている色で

このオプションは画像に複数のレイヤーがあって活性レイヤーが半透明か、 もしくは標準以外のレイヤーに定められている場合に関わってきます。 この状態では現在のレイヤーの色と合成された画像の色とが異なっているはずです。 見えている色で オプションが無効にされているときは現在活性化しているレイヤーの色だけを見て選択を作ります。 逆に有効であればすべての可視レイヤーから色を合成して判断します。 用語集の Sample Merged の項に詳しく書かれています。

Diagonal Neighbors

When activated, the tool considers diagonally neighboring pixels as connected when calculating the affected area. In other words, instead of looking at the four orthogonal neighbors of each pixel, it looks at all eight pixels

図14.24 Example for Diagonal Neighbors

Example for Diagonal Neighbors

A pixel with 4 orthogonal neighbors

Example for Diagonal Neighbors

A pixel with 4 diagonal neighbors

Example for Diagonal Neighbors

A pixel with 8 neighbors


図14.25 Example for Diagonal Neighbors option applied

Example for Diagonal Neighbors option applied

Diagonal Neighbors option unchecked

Example for Diagonal Neighbors option applied

Diagonal Neighbors option checked


しきい値

このスライダーはマウスポインターで開始点をとった時点での選択対象となる色の幅を示すもので、 マウスをドラッグすると変化します。 しきい値が高いほど選択される範囲は大きくなります。 開始点をとった後で、 マウスを下方向もしくは右方向にドラッグすると選択範囲の大きさが増します。 反対にマウスを上方向もしくは左方向にドラッグすると大きさが減ります。 つまりしきい値をこのスライダーで設定しなくても同等に調節が可能だということです。 両者の違いは、 しきい値を大きくとるためにはマウスでドラッグする方法でははるかに大幅なポインター移動が必要になるということです。

Select by

This option determines which component of the image GIMP uses to calculate the similarity in color.

You can choose from Composite, Red, Green, Blue, Alpha, HSV Hue, HSV Saturation, HSV Value. LCh Lightness, LCh Chroma, and LCh Hue.

Draw Mask

This option can help to visualize the selection. Selected areas marked with marching ants may not be evident when selecting with Fuzzy select or Magic wand. If this option is checked, selected areas will be filled with a magenta color as long as you keep pressing on the left mouse button, and this mask will disappear as soon as you release this button.

図14.26 Example for Draw mask option applied

Example for Draw mask option applied

Fuzzy Select used with Draw Mask option unchecked

Example for Draw mask option applied

Fuzzy Select used with Draw Mask option checked, left mouse button not released yet.