4.15. 明度伝搬...

4.15.1. 概観

図16.70 明度伝搬フィルタの使用例

明度伝搬フィルタの使用例

元画像

明度伝搬フィルタの使用例

明度伝搬フィルタ適用後


明度伝搬... フィルタは色の境目に作用します。 特定の条件で画素が付近の画素と色の異なりが認められるときにその色が周囲を染めます。

4.15.2. フィルタの呼び出し方

画像ウィンドウのメニューより フィルタ変形明度伝搬...

4.15.3. オプション

図16.71 明度伝搬フィルタのオプション

「明度伝搬」フィルタのオプション

プレビュー

プレビュー オプションを有効にしておれば画像に実際にフィルタをかける前からダイアログ上で調節したとおりに即座に効果のようすが見て分かるようになっています。

モード

つぎの画像を用いた例で説明します。

より白く (明度大)

画素は最寄りのより明度が高い画素の色に染まります。 したがって明るい部分が拡がります。

図16.72 より白く

より白く

明るい画素が上下左右四方の暗い画素に伝搬した。 フィルタは繰り返すほどに効果が増す。


より黒く (明度小)

画素が最寄りのより明度の低い画素の色に染まります。 したがって暗い部分が拡がります。

図16.73 より黒く

より黒く

図16.74 下方向のみ

下方向のみ

方向は 下へ だけを有効にした


中間明度をピークに

色の境目で画素の値が上限下限のしきい値の範囲にあるときその上下の平均の値が伝搬されます。

図16.75 中間明度をピークに

中間明度をピークに

色の境目では徐々に色が変わる部分が薄く形象の周りをとり囲むように描き加えられた。 もとから徐々に色変りする境目にはこの様子は見られない。

中間明度をピークに

緑色のところを800倍の倍率で表示。 細い縁取り (太さ1ピクセル) が描き加えられている。 この色の値は灰色 (90%) と緑 (78%) の平均値 (90+78)/2 = 84% になっている。


前景をピークに

伝搬する部分はツーボックスの色標識に示される描画色で塗りつぶされます。 つぎの例ではツールボックスの色標識に示される描画色は赤とします。 1ピクセル幅の細い赤の縁取りが形象につけ加わります。 徐々に色変りする方の形象ではそのような縁取りが色変りの端に現れます。 この図では内側にも縁取りが現れます。 これは形象が小さいことで両端のなだらかな色変りの部分が重なり合ってしまうことによる人工物現象です。

図16.76 前景をピークに

前景をピークに

細い赤の縁取りが加わった


前景のみ

ツールボックス描画色と同じ色の部分だけ伝搬します。

図16.77 前景のみ

前景のみ

この例ではツールボックス描画色を緑の形象と同じ色にしておいた。 このフィルタを幾度か適用すると緑の部分が明らかに拡大しているのがわかる。


背景のみ

ツールボックス背景色と同じ色の部分だけ伝搬します。

より不透明に, より透明に

これらのオプションは より白く (明度大)より黒く (明度小) と似たはたらきをします。 前者は透明度のより低い部分の色が高いほうに伝搬し、 後者は透明度のより高い部分が低い方を染めます。 いずれのオプションも画像にアルファチャンネルが必要です。

図16.78 より不透明に

より不透明に

元のレイヤー。 背景は透過している。

より不透明に

幾度かフィルタを適用した。 緑色の不透明な部分が拡大している。


伝搬
しきい値下限, しきい値上限

周辺の画素の値と比較して しきい値下限 よりは大きく しきい値上限 よりは小さな差異を画素の値がもつときは伝搬 (拡散) します。

伝搬率

伝搬する量です。 高い率を設定すれば一度のフィルタ適用でより多くの画素が染まります。

左へ, 上へ, 右へ, 下へ

ひとつまたはそれ以上の伝搬方向を指定します。

アルファチャンネルを伝搬

このオプションを有効にすると、 画素のアルファ値が伝搬したりもしくは周辺の画素のアルファ値に染まったりします。 このチェックボックスのオプションはフィルタを呼び出した時点で活性レイヤーにアルファチャンネルがある場合のみ現れます。

明度チャンネルを伝搬

このオプションを有効にすると、 画素の色チャンネル (グレースケール画像なら明度チャンネル) が伝搬します。 もちろん初期状態ではこのオプションが有効になっています。 このチェックボックスのオプションもフィルタを呼び出した時点で活性レイヤーにアルファチャンネルがある場合のみ出現します。