MultiScale Retinex with Color Restoration) とはヒトの目がその場の状況に合わせる生物学的構造をもっていることに着目したアルゴリズムです。 レティネックスは1971年に登場した retina (網膜) と cortex (皮質) の合成語です。
フィルタは明るさの不十分な画像の見た目を改善する描画を行ないます。 光の乏しいところでもヒトの目は色を見分けられるのにカメラやビデオカメラはそれがちゃんと処理できません。 レティネックスフィルタの根幹をなすMSRCR (天文学用の可視情報や探査情報、 あるいは医学用のX線写真やスキャンで得たなかなか見づらい構造を活用する目的でデジタル写真技術とともにレティネックスアルゴリズムが利用されています。
これらのオプションは数学者や医用画像処理の技術者だけしか理解できない思考回路を要求します。 実用的な面では、 最適な設定を模索していくしか他に方法がありません。 それでもつぎの説明は試され済みのGIMPユーザにとっては役立つ情報だと思います。
このプラグイン作者が自身のサイト [PLUGIN-RETINEX] でつぎのようなことを述べています。 「色の変わりようと光源を特定するためガウスフィルタを使い規模を違えて結果の差異を比較します。 これらのパラメータは最小規模 (シグマ値が 2.0) から最大規模 (画像サイズと同じシグマ値) までの間でそれぞれのガウスフィルタに与える規模の値をどのように置くかを決めます。」...
は濃度の高いところも低いところも公平に処理しようとします。
原則として 「flare up させ」 (燃え上がらせ) ます。
は画像の弱いところを重点的に「埋没」ぎみになる傾向があります。
は画像の薄色の部分の描出を改善しようとするため弱い部分がレティネックスの深度を決めます。 最小値は 16 です。 この値でフィルタをかけると品のない粗野な仕上りになります。 最大値は 250 です。 初期値には最適な 240 が選ばれています。
複数スケールのレティネックスフィルタの繰り返し回数を設定します。 できるだけ小さな値が望ましいため推奨値は 3 となっています。 ただし 1 回や 2 回のスケール分割だけでは複数スケールの相が消されるので単数スケールのレティネックスフィルタ処理に逆戻りしてしまいます。 逆に高すぎる値を設定すると画像にノイズが入り込みます。
MSRアルゴリズムは画像を明るくするきらいがあるため、 このスライダで彩度のずれを平均的に調整できるようになっています。 高い値を与えると彩度が落ちます。 このパラメータの効果は画像にとりわけ強く依存しますので、 最適な結果をひねり出すのにはまさに欠かせない値です。