3.5. パレットダイアログ

パレット とは複数の色からなる離散した不規則な集合のことです。 パレットについての基礎的な情報やその作り方と使い方については パレット の節をご覧ください。

パレットダイアログには升目状もしくは列挙型のパレット一覧表があり、 そこで使いたいパレットをクリックして選ぶ用途があります。 多少闇雲に選ばれたと思われるものも含め数十個ものパレットがGIMPに付いてきますが、 自前のパレットも簡単に追加できます。 パレットダイアログは他にも新しいパレットの作成や既存のパレットの操作などの用途もあります。

[注記] 注記

パレットダイアログは インデックス化パレットダイアログ と同じではありません。 あちらはインデックス化カラー画像の色マップを操作するために使うものです。

3.5.1. ダイアログの呼び出し方

パレットダイアログはドッキング可能です。 その扱い方については 「ダイアログとその合体」 の節をご覧ください。

呼び出し方はつぎのとおりです。

  • 画像ウィンドウのメニューより ウィンドウドッキング可能なダイアログパレット

  • 任意のドッキング可能なダイアログのボタンアイコン をクリックすると出てくるタブメニューより タブに追加パレット

3.5.2. パレットダイアログの利用法

ダイアログのパレット一覧表でいずれかのパレットをクリックするとそのパレットが選択されます。 またこのとき 描画色/背景色 ダイアログのパレットのタブにこのパレットの色がすべて表示され、 どれかの色をクリックすればGIMPの描画色または背景色を変えられます。 一覧表のパレットの見本画像をダブルクリックしたときは (後述する) パレット編集 ダイアログが開かれ、 同様に描画色もしくは背景色を変えられます。 パレットを選ぶ際に 矢印キーや PgUpPgDn キーが使えます (並べて表示のときは 矢印キーも使えます)。

ダイアログのパレット一覧表 (一覧で表示モードの場合) でパレットの 名前 をダブルクリックするとその名前が編集できます。 ただし変更できるのは自前で追加インストールしたものに限られ、 GIMPと一緒に提供されたパレットファイルは対象外です。 仮に権限の及ばないものの名前を編集しても、 これを確定しようとして Enter キーを押したりどこか他のところに操作の焦点を移すとたちまち名前は元に戻されます。

升目表示と列挙表示

図14.50 パレットダイアログ

「パレット」ダイアログ

並べて表示

「パレット」ダイアログ

一覧で表示


タブメニューで 並べて表示一覧で表示 を切り替えられます。 並べて表示を選ぶとグラデーションは升目状に並べられます。 この壮観な表示なら一度に多くのパターン見本が見られるので探しだすのが楽になります。 既定で選ばれる一覧で表示の場合はパレットが縦一列に列挙されてその右側に名前が表示されます。

プレビューサイズ サブメニューではパレットの見本画像にお好みの大きさが選べます。

[ヒント] ヒント

キーボードショートカット Ctrl+F で検索窓が現れます。 一覧表ダイアログの検索窓 をご覧ください。

パレットダイアログの利用法

ダイアログの底部にはテンプレートにいろいろな操作ができるボタンが並びます。

パレットの編集

このアイコンボタンは (後述する) パレット編集 ダイアログを呼び出します。

新規パレット

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの 新しいパレット をご覧ください。

パレットの複製

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの パレットの複製 をご覧ください。

パレットの削除

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの パレットの削除 をご覧ください。

パレットを再度読み込み

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの パレットを再度読み込み をご覧ください。

3.5.3. パレットの脈絡メニュー

図14.51 パレットの脈絡メニュー

「パレット」の脈絡メニュー

パレットダイアログの脈絡メニューを呼び出すにはパレットダイアログを 第2ボタン でクリックするか、 タブメニューアイコンボタン をクリックして出てくる飛び出しメニューの最初の項目を進んでください。

パレットの編集

パレット編集 ダイアログ (後述) を呼び出すもうひとつの方法が、 このメニュー項目をクリックすることです。 またほかにも、 パレットダイアログの一覧表のパレット見本をダブルクリックする方法や、 ダイアログの底部にある 「パレットを編集」 ボタンをクリックする呼び出し方があります。

新規パレット

新しいパレットは新たに無名のパレットをまだ何も色がない白紙の状態で作成し、 このパレットに色を加えられるようにするためパレット編集ダイアログを開きます。 作業の結果は自動的にGIMPの個人用 palettes フォルダに保存され、 次回からパレットダイアログを通じて利用可能になります。

パレットをインポート...

図14.52 新しいパレットをインポートダイアログ

「新しいパレットをインポート」ダイアログ

新しいパレットをインポートはグラデーションか画像かパレットファイルの色を基に新しいパレットを作成します。 ダイアログが開かれてつぎのようなオプションを選択できます。

[注記] 注記

かつてのGIMPにあったパレットを保存コマンドは現在の版にはもうありません。 画像のパレットを保存するには、 インデックス化されているかいないかに拘らず画像から文字どおり インポート しなければなりません。

ソースの選択

パレットに転用できるファイルはGIMPのグラデーションファイル (グラデーション の隣のメニューで選んでください) や現在開かれている画像ファイルの一枚 (画像 の隣メニューで選んでください) のいずれかです。 GIMP 2.2 以降は Microsoft Windows™ 系のアプリケーションで使用されているRIFFファイル形式 (拡張子は .pal) も転用可能となりました。

画像から転用する場合のつぎの2つのオプションは、 選ばれた画像がRGBモードであるときに利用できます。

  • レイヤー結合色: このオプションにチェックが入ると、 すべての可視レイヤーから色が採取されます。 入れない場合は、 現在活性化しているレイヤーだけの画素を見て、 たとえそのレイヤーが見えなくても採色します。

  • 選択範囲のピクセルのみ: 名前が示すとおり選択範囲の画素だけから色を採取します。 上のオプションに従い活性レイヤーもしくはすべてのレイヤーの選択範囲内の画素が対象です。

パレット名

ここで作成される新しいパレットに名前をつけます。 ここに記入された名前が既存のパレットの名前として使用されていた場合は、 重複を避けるため数字が#1のように付加されます。

色数

ここでパレットに収められる色数を決めます。 既定数が 256 となっている理由は3つあります。 第1にどんなグラデーションにも相異なる色が 256 色入っています。 第2にGIFファイル形式は最大で 256 色が使えます。 第3にGIMPのインデックス化カラー画像は相異なる色が最大で 256 色使えるからです。 とはいえお好みで何色でもここで指定できます。 GIMPは与えられた色数をいっぱいにしようとして、 グラデーションや画像の全域にわたって採色を試みることさえあります。

列数

ここでパレット見本表示の列数を指定できます。 この指定はパレットの表示方法だけが対象なので、 パレットを使用する段においては何ら影響はありません。

間隔

色数 を最大にしてもパレットに収められるのはせいぜい 10000 色です。 RGB画像ははるかに多くの色数があります。 この 間隔 を増やすとある程度似た色はまとめられ、 より適切なパレットが作成できます。 あらかじめインデックス化された画像の色を転用する場合には色数および間隔の設定は無視され、 これらのスライダは灰色無効に変わり操作できません。

インポートされたパレットはパレットダイアログの一覧表に加えられ、 GIMPを終了するときに自動的に個人用 palettes フォルダに保存されますから、 次回からも利用できます。

パレットの複製

パレットの複製 は現在選択されているパレットの写しをとって新たなパレットを作成しパレット編集ダイアログを開きますので、 直ちにパレットが編集できます。 編集後の結果はGIMPを終了する際に自動的に個人用 palettes フォルダに保存されますから、 次回からもこのパレットが利用できます。

パレットの統合...

今のところこの機能は未完成なためここのメニュー項目は常に灰色無効です。

パレットの場所をコピー

このコマンドはパレットファイルの保管場所のパス名をクリップボードに写し取れます。 これは後からテキストエディタに取り込めます。

パレットの削除

パレットの削除パレットダイアログの一覧表からパレットを消去するのみならずディスク上の保管場所からそのパレットファイルを削除します。 実行に移す前に本当に削除するつもりなのかどうかの確認が求められます。 ちなみにGIMPと一緒に付いてきたパレットはいずれもこの対象外であり、 削除可能なのは自前で追加したものに限られます。

パレットを再度読み込み

パレットを再読み込み は検索対象パスに登録されているパレットファイルの保管場所を読み込み直し、 新たに発見されたパレットをパレットダイアログの一覧表に加えます。 何らかの手段で外部から入手したパレットファイルを個人用パレットフォルダにコピーしたときに、 GIMPを再起動せずとも即座にそのパレットが利用可能になる便利なボタンです。

色の順番をずらす...

このコマンドはダイアログを開きます。

図14.53 python-fu-palette-offsetダイアログ

「python-fu-palette-offset」ダイアログ

このコマンドはパレットの最後尾の色を取り出して先頭に移します。 この操作が オフセット の回数ぶん繰り返されます。

オフセットに負の数を与えると先頭の色を最後尾に移す動作となります。

図14.54 パレット内の色の順番をずらす

「パレット内の色の順番をずらす」例

上から順に、 元のパレット、 オフセット= 1、 オフセット= 2。


パレットをグラデーションに

このコマンドを使うと現在のパレットのすべての色を用いてグラデーションが作成され、 グラデーションダイアログで保存されます。 グラデーションのセグメント数はパレットの色数分あります。

パレットを循環型グラデーションに

このコマンドはパレットのすべての色を用いて繰り返しのグラデーションを作成します。 このグラデーションはグラデーションダイアログに出現して現在の活性グラデーションになります。 グラデーションのセグメント数はパレットの色数より1つ多い数です。 最も左端のセグメントの左端色と最も右端のセグメントの右端色が同じになります。

図14.55 パレットを循環型グラデーションにの例

「パレットを循環型グラデーションに」の例

上図はパレット。 下図はこのコマンドで作成されたグラデーション。


パレットの並び替え

このコマンドはパレットの色をある一定の基準で並び替えるためのダイアログを開きます。

図14.56 python-fu-palette-sortダイアログ

「python-fu-palette-sort」ダイアログ

  • 色モデル: RGBHSVからいずれかを選びます。

  • 並び替えるチャンネル: RGBモードの色モデルを選んだときは、 ここで赤・緑・青の3つの色チャンネルからひとつを選び、 HSVモードの色モデルを選んだときは色相、 彩度、 明度の3つのチャンネルからひとつを選びます。 選ばれたチャンネルの値を比較して並び替えられます。

  • 昇順に並べる? (既定値はする): 既定値の場合は値は低いところから高いところへの順序で並べられます。 する をここでクリックするとボタンは しない に切り替わり、 値の順序は降順になります。

3.5.4. パレット編集

図14.57 パレット編集ダイアログ

パレット編集ダイアログ

パレット編集ダイアログは主に2つの用途があります。 そのひとつはパレットから色を選んでGIMPの描画色と背景色 (ツールボックスの色標識にも表示されます) を設定すること、 ふたつめがパレットを改変することです。 パレットダイアログに並ぶどのパレットに対してもパレット編集ダイアログが呼び出せますが、 改変できるものは自作のパレットに限られ、 GIMPの導入の際に提供されたシステム付属のパレットは対象外です。 (もちろん複製をとれば新しくできた方を編集できます。) パレットを改変すると、 その成果はGIMPを終了するときに自動的に保存されます。

3.5.4.1. パレット編集ダイアログの呼び出し方

パレット編集ダイアログはパレットダイアログを通じて起用する方法しかありません。 一覧表のパレットの縮小見本画像をダブルクリックするか、 ダイアログ底部の 「パレットを編集」 アイコンボタンをクリックするか、 パレットダイアログの脈絡メニューより パレットの編集... を選んでください。

パレット編集ダイアログはドッキング可能です。 その扱い方については 「ダイアログとその合体」 の節をご覧ください。

3.5.4.2. パレット編集ダイアログの利用法

パレットの表示部に並ぶ色のひとつをクリックすると、 その色にGIMPの描画色が変わります。 この様子はツールボックスの色標識の領域でも確認できます。 色をクリックするとき Ctrl キーを押しておれば選んだ色が背景色に設定されます。

自作のパレットや自前で追加したパレットの場合に色をダブルクリックすると、 その色を描画色にするだけでなく色の変更ダイアログを呼び出し、 選んだ位置の色を変更できます。

パレットの表示部を 第2ボタン でクリックするとパレット編集ダイアログの脈絡メニューが現れます。 メニューに並ぶ主な項目はダイアログの底部にあるアイコンボタンと同じはたらきをします。

パレットの表示部より下の左側には選ばれた色の名前 (まだないときは名称未設定) を表示する文字記入欄があります。 この情報に特段の機能はなく、 専ら覚えやすくするために設けてあります。

名前の表示欄の右隣には 列: スピンボタンがあって、 ここでパレット表示部の列数を設定できます。 表示の調整だけが目的なのでパレットのはたらきには影響ありません。 ここの値に 0 を設定すると列数には初期設定の値が使われます。

ダイアログの底部に並ぶアイコンボタンはほとんどがパレット編集ダイアログのメニューの各項目と一致しています。 このメニューはパレットの表示部を 第2ボタン でクリックすると呼び出せます。 ではアイコンボタンをひとつずつ見てゆきましょう。

保存

このアイコンボタンをクリックするとパレットが個人用 palettes フォルダに保存されます。 とはいえ実際は何もしなくてもパレットに加えた操作はGIMPを終了するときに自動的に保存されます。 これは、 何かの拍子にGIMPが異常終了しかねないと考える方が使う機能です。

復帰

この機能は未完成ですので使用できません。

色の編集

このアイコンボタンは色の変更ダイアログを呼び出しますので、 選んだ色項目の色を変更できます。 ただし開いたパレットを改変する権限がないときはこのボタンは灰色無効になっています。 (後述する) 脈絡メニューの 色の編集... をご覧ください。

現在の描画色を追加

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの 描画色から新しい色 をご覧ください。

色の削除

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの 色の削除 をご覧ください。

表示倍率を下げて縮小表示

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの 縮小表示 をご覧ください。

表示倍率を上げて拡大表示

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの 拡大表示 をご覧ください。

すべて表示されるように表示倍率を調整

このアイコンボタンについては (後述する) 脈絡メニューの すべてを表示 をご覧ください。

3.5.5. パレット編集ダイアログの脈絡メニュー

図14.58 パレット編集ダイアログの脈絡メニュー

パレット編集ダイアログの脈絡メニュー

パレット編集ダイアログの脈絡メニューを呼び出すにはパレット編集ダイアログのパレット表示部を 第2ボタン クリックするか、 このダイアログのタブメニューの最初の項目を進んでください。 このメニューでできる操作はパレット編集ダイアログの底部に並ぶアイコンボタンからも起用できます。

色の編集

色の編集... は色の変更ダイアログを呼び出しますので、 選ばれたパレットの色項目の色をここで変更できます。 ただし開いているパレットの改変権限がない場合 (つまりGIMPの導入時についてきたシステム付属パレットを開いているとき) には、 このメニュー項目は灰色無効になっています。

描画色から新しい色; 背景色から新しい色

これらのコマンドはいずれもパレットに新しい色項目を作り、 (ツールボックスの色標識の領域に表示されている) 現在のGIMPの描画色や背景色をその新項目の色に使います。

色の削除

色の削除 は現在選択している色項目をパレットから消去します。 パレットの改変権限がないときはこのメニュー項目は灰色無効になります。

表示倍率を下げて縮小表示

縮小表示 はパレット表示部の升目を低くします。

表示倍率を上げて拡大表示

拡大表示 はパレット表示部の升目の高さを増します。

すべて表示されるように表示倍率を調整

すべてを表示 はすべての色項目が表示部に収まるようにパレット表示部の升目の高さを調節します。

アクティブなパレットを編集します

このオプションを有効に (初期設定は有効です) したときは、 パレットダイアログの一覧表で他のパレットをクリックするだけでそのパレットをパレット編集ダイアログに読み込みます。